「解散総選挙が行われます!」というニュース。
18歳になって選挙権を持ったばかりの人や、これまで政治にあまり触れてこなかった人にとっては、「そもそも何がリセットされるの?」「自分の一票はどう扱われるの?」と疑問に思うことも多いはずです。
この記事では、総理大臣が持つ「最強のカード」の正体から、複雑な選挙のルール、そして投票所での裏技まで、初心者の方にも分かりやすく、かつ深く解説します。
1. そもそも「解散」ってなに?

いきなり全員クビ!?
衆議院議員の任期は本来4年ですが、任期が終わる前に総理大臣の判断で、衆議院議員全員の身分を失わせる(クビにする)ことを「解散」と言います。
解散が決まった瞬間、議員たちは「ただの市民」に戻ります。国会で「バンザイ!」と言っているのは、失職の悲しみではなく、「必ず戻ってくるぞ!」という戦いへの気合入れ(勝鬨)のようなものです。

なぜ解散するの?(総理の「伝家の宝刀」)

実は、解散には大きく分けて2つのパターンがあります。
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「7条解散」(戦略的解散): 総理大臣が「今なら自分の政党が勝てそうだ!」とか「国民にこの大事な方針を問いたい!」と判断した時に行う、自発的な解散です。これが日本の解散のほとんどです。
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「69条解散」(不信任解散): 国会から「今の内閣は信用できない!」という「内閣不信任案」を突きつけられた時に、対抗して行う解散です。
総理大臣は、相手(野党)の準備が整っていない隙を突いたり、自分への支持率が高い「ボーナス期」を狙って解散を仕掛けることができます。
これが、解散が総理大臣の「最強のカード(伝家の宝刀)」と呼ばれる理由です。
【ケーススタディ】2026年1月・高市首相の狙い
今回の解散は、まさにこの「7条解散」の典型的な戦略と言われています。ニュースでは以下のような背景が報じられています。
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「高市人気」が熱いうちに: 高市首相への国民的な支持が高い今、選挙を行うことで、その人気を「議席数」という確かな形に変えたい。
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「過半数」の奪還: 現在、自民党は議席が減り、自分たちだけで物事を決められる「過半数」を割り込んでいます。この不安定な状況をリセットし、一気に議席を増やして政権基盤をガチガチに固めたいという強い思惑があります。
このように、解散は単なる「やり直し」ではなく、政権を有利に進めるための高度な政治的ギャンブルでもあるのです。
2. なぜ「衆議院」だけが解散されるの?
日本の国会には「衆議院」と「参議院」がありますが、解散があるのは衆議院だけです。
衆議院の優越
衆議院は参議院よりも強い権限を持っています。例えば、国の予算や総理大臣の指名などは、衆議院の決定が優先されます。
その代わり、衆議院は「解散」によって頻繁に国民のチェックを受けるリスクを背負っています。
一方の参議院は、任期6年で解散がなく、じっくり腰を据えて議論する「良識の府」という役割分担になっているのです。
3. 選挙の仕組み:投票所でもらう「2枚の紙」

衆議院の選挙は、「小選挙区比例代表並立制」という制度で行われます。ポイントは、投票所で2回投票するということです。
① 1枚目の紙:小選挙区(「人」の名前を書く)
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ルール: 日本を289の小さなエリアに分け、それぞれのエリアからたった1人だけを選ぶサバイバル戦です。
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メリット: 誰が当選したか分かりやすく、一つの政党が勝ちやすいため、政治が安定します。
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デメリット: 1位以外の人に投じられた票はすべて無効(死票)になってしまい、少数派の意見が届きにくい傾向があります。
② 2枚目の紙:比例代表(「政党」の名前を書く)
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ルール: 全国を11の大きなブロックに分け(定数176人)「政党(チーム)の名前」を書きます。
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仕組み: 各チームが獲得した票数に応じて、議席が配分されます(ドント式という計算方法を使います)。
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メリット: 小選挙区ではこぼれ落ちてしまうような、多様な意見を国会に反映させることができます。
4. 謎の「ゾンビ当選」ってズルくない?

選挙速報で、「小選挙区で落選が決まりました……あ、今、比例で復活当選です!」というシーンを見たことがありませんか?
これは「重複立候補」というルールによるものです。
多くの候補者は「小選挙区(個人戦)」と「比例代表(チーム戦)」の両方にダブルエントリーしています。
「惜敗率(せきはいりつ)」のドラマ

個人戦で負けた候補者のうち、誰を救済するかは「惜敗率」で決まります。
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計算式:
小選挙区での自分の得票数 ÷ 小選挙区での当選者の得票数 × 100 -
1位の人にあと一歩で負けた(惜敗率95%): 復活の可能性大!
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1位の人にボロ負けした(惜敗率30%): 復活は絶望的。
「自分の一票は無駄になるかも」と思っても、あなたが投じた一票がその候補者の「惜しさ」を底上げし、復活当選を助けるライフライン(命綱)になるのです。
5. 解散中の40日間、日本はどうなっている?

議員が全員いなくなって、もし大地震が起きたらどうなるのでしょうか?
内閣は「暫定チーム」として継続
総理大臣や各大臣(内閣)は、次の選挙が終わって新しいリーダーが決まるまで、そのまま仕事を続けます。行政(役所の仕事など)が止まることはありません。
参議院の緊急集会
衆議院が空っぽの間に重大な危機が起きた場合、任期が残っている参議院の議員だけが集まって会議を開くことができます。
これがいわば「バックアップ電源」の役割を果たします。ただし、ここで決めたことは、選挙後に新しく選ばれた衆議院から後でOKをもらう必要があります。
6. コラム:なぜスマホで投票できないの?

「買い物も銀行振込もスマホでできるのに、なぜ選挙は『紙に鉛筆』なの?」と誰もが思いますよね。実は、技術よりも「信頼」の壁があります。
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秘密投票の確保: 「隣にいる誰かに強制されてボタンを押していないか?」をスマホ画面越しにチェックするのは困難です。投票所という隔離された空間が必要だとされています。
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ハッキングのリスク: もし集計システムがハッキングされたら、国全体のリーダー選びが台無しになります。目に見える「紙」の方が、不正を防ぎやすく、やり直しもきくという考え方が根強いのです。
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過去の失敗: 日本でも過去に一部の自治体で「電子投票機」が導入されましたが、故障などのトラブルが相次ぎ、現在はほとんど使われていません。
7. 投票に行くときのアドバイス【実践編】

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期日前投票を活用しよう! 当日に用事がある場合はもちろん、「当日は混むから」という理由だけで選挙日より前(期日前投票)に投票できます。手ぶらでOK、役所やショッピングモールなど、買い物ついでに行ける場所も多いです。
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2枚目に個人名を書くと「ゴミ」になる 比例代表(2枚目)に候補者の個人名を書くと無効になります。参議院選挙と混同しやすいので、絶対に「政党名」と覚えましょう。
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「最高裁判所裁判官国民審査」もある 衆院選の日は、裁判官をチェックするカードも渡されます。「やめさせた方がいい」と思う人に×をつける仕組みです。
まとめ

解散総選挙は、私たち有権者が今の政権に「合格」か「不合格」か、直接審判を下す唯一のチャンスです。
「誰に投票していいか分からない」時は、各政党のSNSや、スマホで数問答えるだけで自分に合う政党がわかる「ボートマッチ」サイトなどを利用するのも手です。
2026年1月、あなたもこの「日本のリーダー選び」という壮大なゲームに参加してみませんか?

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